“役割”を明確にする
前回は、ブランディングの土台になる「あり方」についてお伝えしました。自分は何をする人として存在したいのか。その本音の部分が定まってくると「表現が自然なものになっていく」という話でした。
では、あり方が見えてきたら、次は何をすればいいのか?それは、あり方を“ビジネスでの表現”へと昇華させるために、自分の「役割」を明確にすることです。
自分だからこそ語れること
「役割」と聞くと、会社での業務や与えられたポジションなどを思い浮かべるかもしれません。でも、ここで言う「役割」とは、もっと根源的なものです。それは「自分だからこそ語れることを語っていく」ということ、自分にしかない「メッセージ」を届けていくことです。ただ、「自分には特別なメッセージなんてない」と感じる方が多いのも事実。
これまで、たくさんの事業主の方にお会いしてきましたが、誰しも必ず「自分にしか語れない物語」を持っています。何かを乗り越えた経験、うまくいかなかった時期、そこで気づいたこと。このような『自分がどう変われたか』を言葉にして伝えていくことが「役割」につながっていきます。そうすることで、「誰にそれを届けたいか」が決まり、共鳴する相手が自然と絞られていきます。
役割を見つける3つの層
では、どうやって役割を見つけていくのか。僕がクライアントさんと一緒に掘り下げるときには、以下の3つの層から見ていきます。
1)経験 ── 悩みと葛藤
何に悩み、どんな壁にぶつかってきたか。泥臭い話や失敗談の中にこそ、誰かの心に刺さるものが潜んでいます。
2)気づき ── ターニングポイント
その経験を通して何を学んだか。問題を乗り越えることができた瞬間に気づいたこと。その気づきが、メッセージの核になります。
3)変化 ── ビフォー・アフター
気づきを得たことで、自分の見え方や生き方はどう変わったか。その「変化」を明示することで、受け取る人に希望を与えることができます。
サービスにメッセージを込める
どんな業種、どんな商品やサービスであれ、自分が「伝えたいメッセージ」を込めることができます。整体師さんなら、「施術」を通して「自分を愛することの大切さ」を伝えることができるかもしれませんし、アクセサリー作家さんなら、「作品」を通して「日常にときめきを持つ喜び」を伝えられるかもしれません。やり方はいくらでもあります。大切なのは、商品・サービスを通して「何を伝えるか?」です。
自分の経験から生まれたメッセージを、サービスの中に溶け込ませることができると、長々と説明しなくても、自然と「伝わる表現」になっていきます。自分の経験や気づきから生まれたメッセージは、唯一無二のものです。誰かの真似でもなく、流行に乗ったものでもない。だからこそ、それを受け取った人に「共鳴」が起きます。
役割がブランディングの軸に
この「共鳴」がビジネスを飛躍させる鍵です。「共鳴」によって、相手と深い“心”のつながりができ、誰とも比較されない「選ばれる理由」、ブランディングの軸になっていきます。
そして「役割を果たしていく」ということは、そのビジネスを行う「目的」でもあります。それが原動力になり、ビジネスをもっと前に進めることができます。次回は、その上で重要な、商品・サービスの「価値」の生み出し方について考えていきたいと思います。