誰もが持っている“役割”
前回の記事では、「あり方」が自己表現の核になるというお話をしました。今回は、その「あり方」で見つけた自分の軸を、世の中とつなげていく最初のステップ、「役割」について掘り下げていきます。
僕はこれまで、90件以上の開業に携わり、ひとりビジネスをされてる方の“自己表現”を数多くサポートしてきました。その中で気づいたのは、誰もが自分だけの「役割」をすでに持っているということです。
「役割」と聞くと、会社での業務や与えられたポジションを思い浮かべるかもしれません。でも、ここで言う「役割」は、もっと根源的なものです。それは、“自分は世の中に対して、何を伝えるためにビジネスをしてるのか?”── ということ。この「役割」が明確になると、ビジネスが単なる“仕事”ではなく、自分にしかできない“表現”として立ち上がっていきます。
“経験”を伝えることが役割に
では、どうやって「役割」を見つければいいのでしょうか?そのヒントは、“ビジネスの本質”にあります。どんな仕事も、どんな商品も、「誰かの悩み解決」が目的です。自分自身が商品とも言える“ひとりビジネス”も同様です。自分は『どんな悩みを解決できる人』なのか?──その答えの中に、自分の「役割」があります。
あなたには、これまでの人生で経験してきた「悩み」や「苦しみ」があるはずです。そして、それを乗り越えることができた、あなただけの「方法」があるはず。今度は、その「悩み解決の方法」を、同じ悩みを持つ人たちに、あなたが伝えていく番です。
役割の見つけ方
あなたが経験してきたことは、必ず誰かの道しるべになります。これまで何に悩み、それをどう乗り越えてきたかを、次の3ステップで振り返ってみましょう。
① 経 験 ── 自分が何に悩み、それをどう乗り越えてきたか?
② 気づき ── そこから得た学び、自分自身がどう変化したか?
③ 貢 献 ── 同じ悩みを持つ人に、どんなメッセージを届けたいか?
例えば、「生きづらさを抱えていたけど、ヨガに出会って“自分を感じる大切さ”に気づいた」という経験をしたとします。
この場合、
①生きづらさという悩みを、ヨガをきっかけに乗り越えた。
↓
②生きづらさを解消をする方法は、“自分を感じる”ことだと気づいた。
↓
③ “自分を感じる大切さ”を自身のビジネスで伝えて、“生きづらさを抱える人たち”の力になりたい。
という流れになります。ここでのポイントは、経験の中で気づいた “自分を感じる”という「悩み解決の方法」です。この“方法”をメッセージとして届けることが「役割」になります。
あなたの経験、ビジネスに応用すると、どんなメッセージが生まれてきそうですか?こんなふうに言葉にしてみてください。
『私は、〇〇で悩んでいる人に、△△の大切さを伝える人』
このように言葉にしてみて、自分の中で「しっくりくる感覚」が生まれれば、それがあなたの「役割」になります。
役割を“サービス”に落とし込む
次に必要なのは、見つけた役割を、あなたが提供するサービスに落とし込むことです。自分の“内側”にある役割を、サービスというかたちで“表現”していきます。
先ほどの例で言えば、悩み解決のきっかけはヨガだったかもしれませんが、“自分を感じられる”体験は、カウンセリングでも、アロマトリートメントでも、どんなサービスにも込めることができます。また、メニュー構成やサービス体験を工夫することで、そのメッセージをより強く伝えることもできます。
あなたのサービスの中で、
⚫︎どんなメニュー構成にすれば、その“メッセージ”が伝わるか?
⚫︎どんな体験を提供すれば、伝えたい“想い”を感じてもらえるか?
この視点で見直すことで、役割がビジネスとして立ち上がっていきます。
仕事をする上での“目的”
「役割」を明確にすることは、仕事をする上での“目的”を定めることでもあります。商品やサービスは、あくまでその目的を果たすための“手段”。目的が定まると、ビジネスの方向性がクリアになり、「自分の経験が人の役に立っている」という実感が、日々の原動力になります。
役割とは、自分の経験や気づきをもとに「誰のどんな悩みを解決したいのか?」を明確にし、その想いを“サービス”としてかたちにすること。自分の「あり方」という土台の上に、この「役割」を乗せることで、自己表現としてのビジネスが、ぐっと現実味を帯びていきます。
自分の想いを“誰に・どう届けるか”が見えてきたら、次は“どう伝えるか”を設計していきす。次回は、役割から生まれる「価値」について。自分の想いを世の中とつなげるステップを、さらに掘り下げていきましょう。